御消息等

■御正忌報恩講でのご門主法話(ご親教)〔2019(平成31)年1月15日御影堂にて〕

  お慈悲の心に気付かされる
 
         
 ◎2023年に慶讃法要
   本年もようこそ御正忌報恩講にご参拝くださいました。全国から親鸞聖人をお慕い
  する皆さまがご参拝くださり、ご一緒におつとめをし、お念仏申させていただく尊い
  ご縁であります。
   さて、本年は、御正忌報恩講の最初の日にあたります1月9日に、「親鸞聖人御誕
  生850年・立教開宗800年についての消息」を発布いたしました。4年後の20
  23年に法要をおつとめいたします。
   立教開宗八百年とは、親鸞聖人が浄土真宗のみ教えを説かれて800年ということ
  で、この間、今日まで多くの先人方によってみ教えは受け継がれてきました。それは、
  時代が変わっても、み教えが私たちが生きていく上での依りどころ、支えとなってき
  たからです。
   親鸞聖人は、私たち人間を自己中心的な凡夫であるとみられ、その凡夫に向けられ
  た阿弥陀さまのおはたらきを明らかにされました。どのように時代や場所が変わろう
  とも、自己中心的な凡夫であるという私たち人間の姿は変わりません。ですから、い
  つの時代においても浄土真宗のみ教えが、その時代の人々の生きる依りどころとなる
  のです。
  
 ◎自己中心的な自身に気付く
   ところで先日の新聞に、昨年1年間に日本で交通事故で亡くなった方が統計を取り
  始めてから最少になったと出ていました。それでも、平均すると毎日約10人の方が
  交通事故で亡くなっています。しかし、その10人が私ではない、あるいは私の家族
  ではないという保証はありません。また交通事故だけではなく、病気や事件などによ
  って突然命を失うということも、昔に比べればその数は減っているかも知れませんが、
  この私がそうならないということにはなりません。
   お釈迦さまはこの世界の真実を、諸行無常という言葉で明らかにされました。私た
  ちはこの真実に気付くことなく、自己中心的な考え方で日々の生活を送っていること
  が多いのではないでしょうか。
   親鸞聖人は、そのような私を真実の世界に導きたいという阿弥陀さまの願いと、そ
  のおはたらきを説いてくださいました。み教えを聞かせていただくことで、私たちは
  自己中心的な自身の姿に気付かされるとともに、摂取不捨という阿弥陀さまの広大な
  お慈悲の心に気付かされるのです。
   今日、特に日本では少子高齢化や核家族化、過疎・過密などの社会状況とも相まっ
  て、み教えを伝えていくことが非常に難しくなっていますが、ご参拝の皆さまには今
  後もみ教えを聞かれますとともに、一人でも多くの方々にみ教えを伝えていただきた
  いと思います。
   そして、4年後の親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年の慶讃法要をともに
  お迎えいたしましょう。
   本日はようこそご参拝くださいました。