御消息等

■法統継承に際しての消息  龍谷門主 釋 専 如
                 《2014(平成26)年6月6日御影堂にて》

   
    
   本日、私は先代門主の意に従い、法統を継承し、本願寺住職ならびに浄土真宗本願寺派
  門主に就任いたしました。
   ここに先代門主の長きにわたるご教導に深く感謝しますとともに、法統を継承した責任
  の重さを思い、能う限りの努力をいたす決意であります。
   釈尊の説き明かされた阿弥陀如来のご本願の救いは、七高僧の教えを承けた宗祖親鸞聖
  人によって、浄土真宗というご法義として明らかにされ、その後、歴代の宗主方を中心と
  して、多くの方々に支えられ、現代まで伝えられてきました。その流れを受け継いで今こ
  こに法統を継承し、未来に向けてご法義が伝えられていきますよう、力を尽くしたいと思
  います。
   宗門の過去をふりかえりますと、あるいは時代の常識に疑問を抱かなかったことによる
  対応、あるいは宗門を存続させるための苦渋の選択としての対応など、ご法義に順ってい
  ないと思える対応もなされてきました。このような過去に学び、時代の常識を無批判に受
  け入れることがないよう、また苦渋の選択が必要になる社会が再び到来しないよう、注意
  深く見極めていく必要があります。
   宗門の現況を考えます時、各寺院にご縁のある方々への伝道はもちろんのこと、寺院に
  ご縁のない方々に対して、いかにはたらきかけていくのかを考えることも重要です。本願
  念仏のご法義は、時代や社会が変化しても変わることはありませんが、ご法義の伝え方は、
  その変化につれて変わっていかねばならないでしょう。現代という時代において、どのよ
  うにしてご法義を伝えていくのか、宗門の英知を結集する必要があります。
   また、現代のさまざまな問題にどのように取り組むのか、とりわけ、東日本大震災をは
  じめとする多くの被災地の復興をどのように支援していくのかなど、問題は山積していま
  す。
   「自信教人信」のお言葉をいただき、現代の苦悩をともに背負い、御同朋の社会をめざ
  して皆様と歩んでまいりたいと思います。