御消息等

■専如門主からの「お言葉」  《2014(平成26)年6月6日御影堂にて》

   
    
   本願寺第24代即如門主の退任に伴い、本願寺住職・浄土真宗本願寺派門主に就任いた
  しました。今日まで浄土真宗のみ教えを受け継いでこられた先人の方に感謝し、次の世代
  へと伝えることができるよう、皆さまと共に努めてまいります。どうぞよろしくお願いい
  たします。
   ただ今は、遠近各地よりご参拝いただきました、多くの皆さまと共に本願寺の阿弥陀堂
  と御影堂において、法統継承式にあたっての法要をおつとめさせていただきました。ご参
  拝の皆さまには、御影堂、阿弥陀堂、白洲の仮設テントだけでなく、境内各所においてご
  参拝いただくことになり、ご不便をおかけしました。
   さて、親鸞聖人が説かれた浄土真宗の教えは、主著『顕浄土真実教行証文類(教行信証)
  』に「もしは行、もしは信、一事として阿弥陀如来の清浄願心の回向成就したまふところ
  にあらざることあることなし。因なくして他の因のあるにはあらざるなり」と示されてい
  るように、阿弥陀さまのはたらきによってこの私たちが救われるという教えであります。
  なぜなら、私たちの真実の姿、ありのままの姿とは、自己中心的な姿だからであります。
  そのことに真正面から向き合い、この限られた命を生きていくのが浄土真宗の教えを依り
  どころとする者の生き方でありましょう。それは、いつの時代であっても、またどの場所
  であっても変わることはありません。
   しかし、今日の社会状況において、今までと同じように教えを次世代へと伝えることが
  困難になっています。また、仏教や浄土真宗の教え、親鸞聖人に対する関心はあっても、
  お寺とのご縁がない方も多くおられます。多くの方にお寺へお参りいただけるような取り
  組み、教えを伝えていく工夫が必要です。それぞれの地域の実情に合わせた、各寺院、僧
  侶、寺族、門信徒一人一人の活動が重要になります。親鸞聖人は、道綽禅師のむ「前に生
  まれんものは後を導き、後に生まれんひとは前を訪へ」という文章を『教行信証』の最後
  に引用されています。浄土真宗の教えが広く伝わるよう、努めなければなりません。
   そして、阿弥陀さまのはたらきを聞かせていただく私たちは、他の方の悲しみや苦しみ
  に無関心ではいられません。自分さえよければよい、という考え方は、親鸞聖人とは相い
  れません。宗門の社会への取り組みも必要です。
   善導大師の「自信教人信」というお言葉をあらためてわが身のこととして受け止め、南
  無阿弥陀仏とお念仏申しながら、浄土真宗のみ教えを喜ぶ宗門の一員として、実践運動に
  取り組んでまいりましょう。