皆さま、ようこそご参拝になりました。昨年の大震災後、1か月経たない4
月9日から始まりました親鸞聖人の750回大遠忌法要は、本日、大逮夜(最
後の午後の法要)をお勤めすることができました。
本日まで多くの方にご参拝いただき、50年に一度のご勝縁を共にすること
ができましたこと、誠にありがたく存じます。東日本大震災をはじめとする天
災地変や放射能汚染で被災された方々、社会の情勢や個人的な事情で困難を抱
えている方々が少なくない世の中です。大遠忌法要にご参拝になれなかった方
々のことを思いつつ、これからの日々を過ごしたいと思います。
先程、お正信偈の前にお唱えしましたのは、親鸞聖人の主著『教行信証』の
最初の部分、「総序」です。
ひそかにおもんみれば、難思の弘誓は難度海を度する大船、無礙の光明
の闇を破する恵日なり (『註釈版聖典』131頁)
というお言葉から始まっていました。意訳しますと
私なりに考えてみると、凡夫にははかりがたい阿弥陀如来のご本願は、
渡ることの難しい迷いの海を渡してくださる大きな船であり、何ものに
もさまたげられないその光明は、煩悩の闇を破ってくださる智慧の輝き
である。
となります。
何が起るか分からない私の人生。無知と欲望に引きずられている私。過ぎ去
ったことは取り返しがつかない世の中。どれも渡りにくい荒海に譬えられます。
難しい修行をしなくても、人生そのものが難問、難題の連続です。でも、阿弥
陀如来は南無阿弥陀仏となって私を支え、さとりへと導いてくださいます。
ご本願を信じる者、南無阿弥陀仏をいただく者にとって、この世は往生浄土
への船の旅です。船は大勢が乗れる大きな乗り物を意味します。私が救われる
教えは、誰でもが救われる教えです。共に手を取り、支え合って人生の旅を続
けたいと思います。そして、今生きているあらゆるいのち、後々の世代も心豊
かに生きられることを願わずにはおれません。
親鸞聖人のおこころ、750年にわたりみ教えを伝え、宗門を受け継いでく
ださった先人の方々の願いをしっかりと受け止め、お念仏申して精いっぱい過
ごさせていただきましょう。
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